読了(浅沼・小浜『近代経済成長を求めて』)

近代経済成長を求めて―開発経済学への招待

近代経済成長を求めて―開発経済学への招待

pro-poor growthMDGsの政策論としての甘さとか、新古典派の経済成長理論は、経済発展に関する決定的な理論にはなっていないとか、「カントリー・ナラティブ」アプローチの重要性とか、輸出主導による経済発展というが、そもそも拡大する輸出市場が近くに存在するかどうかが実はきわめて重要であり、東アジアはこれに恵まれたがアフリカはこれに恵まれていないとか、いろいろ面白い論点が詰まってはいる。ただ、構造調整に対する評価がどうもブレているような気がするし、A・K・センへの批判にはやや違和感もある。そして、残念なことはあまりにも誤字脱字が多すぎることである。特に後半の章(文体からして小浜氏ではなく浅沼氏の執筆分ではないかと思われる)において、相当にひどい。「誰も一度もゲラを読まなかったんじゃないか」と思うほど。これでよく学生を指導できるなぁ。編集を務めた勁草書房の宮本祥三氏も含めて、もうちょっと丁寧な本作りをするように。