読了(丸山『科学者の9割は「地球温暖化」CO2犯人説はウソだと…』)

科学者の9割は地球温暖化CO2犯人説はウソだと知っている (宝島社新書)

科学者の9割は地球温暖化CO2犯人説はウソだと知っている (宝島社新書)

今年は立秋を過ぎた8月9日(土)頃から涼しくなった。今日などもう秋の気温である。明日は10月上旬の涼しさだという。今年は昨年と比べて暑くなるのも遅かった。


著者によると、地球の気温を左右するのは、影響が大きい順に、①太陽の活動度、②地球磁場、③火山の噴火、④ミランコビッチ・サイクル(地球の公転軌道のぶれによる太陽との距離の増減)、⑤温室効果ガスであり、地球温暖化の原因としては、温室効果ガスの役割はきわめて限定的であり、近年の温暖化は、温室効果ガス以外の要因によるところが大きかったに過ぎない、という(したがってCO2削減はほとんど意味がない)。また、①〜④が寒冷化の方向に働けば、⑤による温暖化の作用はいっぺんに吹き飛んでしまい、地球は寒冷化する、そしてこれから21世紀は寒冷化していくはずだ、という。


実際、2008年には入ってから、地球の気温は下がり始めている(1月から5月まで5ヶ月連続で地球の気温は昨年に比べて低下)。もともと1970年代までは、ジャーナリズムでは地球の寒冷化が問題視されていたのであり、温暖化が問題視されるようになったのは、せいぜい1980年代に入ってからであった。著者によれば、「地球温暖化vs.地球寒冷化」の論争は、おそらくあと5〜10年で決着がつくだろう、ともいう。


温暖化と寒冷化では、どちらが人類にとって危機的か。それは圧倒的に寒冷化だと、著者は述べる。端的に言えば、寒冷化により食糧の供給量が減り、また暖房用の石油の消費量は増える、にもかかわらずこれから人口はまだ増加するから、食糧をめぐる争いは熾烈になる。石油の埋蔵量も減っていく。70億近い人口(まだ増える)という人類のバブルは、温暖化によって可能になったに過ぎず、これから地球が寒冷化していくにつれ、栄華を誇った人類のバブルが崩壊する、とも言う。なるほど確かに古今東西、冷害時には飢饉が発生しやすい。また中世末から近世前半(14〜16世紀)が小寒冷期だったことは比較的良く知られている。この時代は世界的に動乱の時代であった。


本書は、前半は地球温暖化論の間違いと地球の気温変動の平易な解説だが、後半は粗雑な地球文明論であり、読むに値しない。でも地球科学など門外漢だという文科系の人間にとっては、前半だけは役に立つだろう。