日本のアパレル市場の変化、1990-2017

『日経』2017.12.30付朝刊によると、国内アパレル市場は1990年から直近に15兆円から9兆円に規模縮小、他方で供給量は37億点と2倍に増えた、という。これらの数字から概算すると、1点あたりの単価は1990年:8108円→直近:2432円。なんと、単価が70%も低下している!

ここに何を見るか。1990年はおろか、1995年頃でも、わたしの身の回りにある服は、基本的に国産だった(欧米のブランド品は、当然、持っていなかった)。つまり、途上国から入ってきた服というのは、この頃はなかった。その後、途上国の経済発展がはじまって安価な服がドンドン入ってきた。これが一つ。

もう一つは、衣類の原料としては、化学繊維、綿花、毛皮などいろいろあるが、もしすべての衣類の原料の比率が変わっていなければ、生産される綿花の量も2倍になっているはず。その綿花は、今日、世界の農薬使用量の2割を占めているという。つまり、環境負荷がかかっていないか、ということ。

バブルの頃までコートの類は一着何万円もするのが普通で、10万円以上もざらだった。そうした高いコートを、長年着続けたものだった。対して今は、コートを10年以上着続けると、流行遅れになって浮いてしまう。
だが、このような単価の低下と供給量増の背後にあるものを理解している消費者は、少ない。