読了

英語を学べばバカになる グローバル思考という妄想 (光文社新書)

英語を学べばバカになる グローバル思考という妄想 (光文社新書)

タイトルが非常にセンセーショナルで眉をひそめたくなる向きもあろうが、内容はいたってまともである。著者は社会学者で、言説分析の手法(というほどのものではないが)をバックにして、英語公用語論の矛盾や妄想を、また英会話・英語学習熱の不毛を巧に解剖し斬り捨てていく。


しかしこの本で興味深いのは、実は、本書の趣旨からすれば補足的である第3章「アメリカ妄想」だろう。これは、学者・ジャーナリストの誰もが断片的にしか述べていない「アメリカとはどういう国、社会か」という問いに対する一つの優れた回答である。ここには、学術的な研究では決して扱われることがないにもかかわらず、アメリカを理解する上で誠に重要な洞察が数多く含まれている。ヘタなアメリカ文化論、アメリカ社会論の分厚い本を読むよりも、よほど、「アメリカとはどういう国、社会か」ということがよくわかるという意味で、画期的な本であり、highly recommendである。