読了

東京タワー

東京タワー

人のセックスを笑うな

人のセックスを笑うな


両方とも、19歳か20歳の男が、15〜20歳ぐらい年上の女性と付き合っていて、場合によっては最後に別れるという、ただそれだけの話で、ストーリー展開の面白さは皆無。


前者は一応小説という形をとっているが、むしろ詩に近い感じ。小説としては評価できないけれども、文体が醸し出す雰囲気の美しさなど、ひとつの作品としてみれば評価できる部分はある。実際、詩的な文章でこれほど美しいイメージを喚起できる小説はなかなかないし、これが江國の持ち味だろう。


後者は評価できない。ストーリーとしての面白さもないし、文体の美しさもない。読むだけ時間の無駄だった。どうしてこれで賞が取れるのかまるでわからない。こういうつまらない作品を読むたびに、最近の小説はつくづく面白くないと思ってしまう。


ところで、両者ともに年下男と年上女のカップルを描いているわけだが、両方とも判で押したようにその差は20歳と同一である。現実問題としても、年下男と年上女のカップルで年の差が20歳以上離れているというケースは、ほとんど見られない。つまり男年下−女年上の場合、その差は20歳までというのが一つの限界になっているような気がする。その理由は、これ以上差が開くと、相手が両親より年上になってしまいがちだからではないかと思う。しかし小説が現実に追従しているようでは小説の意味がないのであって、やはり20歳以上歳の離れた年下男と年上女のカップルを描いた作品が出てきて欲しい。