読了(十市勉『21世紀のエネルギー地政学』)

21世紀のエネルギー地政学

21世紀のエネルギー地政学


事実関係や経緯の把握といった情報収集面では役に立つのだが、いかんせん、シンクタンクの研究員のレポートにありがちな「事実がダラダラ書き連ねられているだけ」の色彩は否めない。掘り下げた議論やエッジのかかったオリジナルな議論が展開されているわけではないから、読んでいても「惹き込まれる」という感を覚えることはついぞない。


それと、著者の言う「地政学」とやらも、何を意味しているのか、よくわからなかった。エネルギー経済をめぐる(国際的な)政治状況がいろいろと議論されてはいるが、それは「政治経済学」の範疇のものであって、「地政学」と形容されるべきほどのものではない、というのが偽らざる実感である。