購入本/デジタル家電ブーム

イノベーションへの解 利益ある成長に向けて (Harvard business school press)

イノベーションへの解 利益ある成長に向けて (Harvard business school press)

前著『イノベーションのジレンマ』(isbn:4798100234)だけではなく、やはりこちらも読まねばならん。

人間の安全保障―世界危機への挑戦

人間の安全保障―世界危機への挑戦

少なくとも現時点で、この分野のもっとも包括的な邦語研究書。



週刊東洋経済』12月11日号が、デジタル家電ブーム失速の特集を組んでいるほか、『VOICE』1月号でも、産業記者の覆面座談会として、やはりこの問題を取り上げている。デジタル家電は、つい半年前までは、各ビジネス誌論壇誌で「日本経済復活の切り札」扱いされていたのに、半年たつと、論調ががらっと変わってしまっている。「『売らんかな』の誌面構成」と見なせないこともないが、実際に、変調を来たしているのだから仕方がない。

両誌ともに、まださらっと見た程度だが、「失速」といっても、製品や企業毎に要因がかなり異なっていて、デジタル家電全てを一口に説明することはできないようだ。また、薄型テレビを除いて、外国メーカーの急速な追い上げは、変調の主たる要因ではない。むしろ企業戦略のミスと過剰供給が、失速の主因のようだ。

ちなみに現時点では、デジタル家電においては、クリステンセン・テーゼ(既存大企業は、技術・性能向上にのめりこんでハイ・エンドに注力するあまり、壊滅的技術で参入してきた後発企業によってローエンドのマス・マーケットを攻め込まれる)はまだ見られない。しかし今後、この分野でも、クリステンセン・テーゼが現実のものとなる可能性はありそうだ。その程度は、おそらく、このデジタル家電アーキテクチャが、どこまで「オープン・モジュール型」の傾向を強めていくかに懸かっていると思われる。池田信夫氏の以下の論考も参照。

http://www.rieti.go.jp/jp/publications/summary/03120002.html