デジタル家電はなぜ利益を生まないのか

安部忠彦「なぜ企業の研究開発投資が利益に結びつきにくいのか」
http://www.fri.fujitsu.com/open_knlg/reports/178.html


デジタル家電では、高度な製品は生まれてもそれが利益に結びつきにくい、という状況になっているようだ。しかしかつてのフィルム式のカメラ産業でも、カメラ単体ではそれほどの利益が出ていたわけではなくて、むしろフィルムやら現像といった消耗品・周辺機材・関連サービスで利益を得ていた*1

週刊東洋経済』12月11日号が記しているとおり、デジタル家電も、これと同じかもしれない。つまり、その生産販売で利益を叩き出すモデルから、関連サービスなどで利益を稼ぎ出すモデルに、徐々に移行していくのではないか*2。してみると、いまのこの業界の苦しみは、生産で稼ぐステージから、関連サービスで稼ぐステージへの移行がうまく進んでいないことを表しているのかもしれない。要するに、問題は「製品ではなくて戦略」というわけだ。


それにしても、こういうレポートが、よりによって富士通の子会社から出てくるというのが、笑えるというか、何と言うか。これは本社への提言なのか?



 

*1:キヤノンは、このビジネスモデルを、コピー機やプリンターにうまく応用している、と言える。というのも同社の場合、コピー機やプリンターの生産・販売利益もさることながら、トナーなどの消耗品の販売の利益率が高いからだ。

*2:デジタル家電ではないが、IBMによるPC事業のLenovoへの売却は、「生産では稼がず、サービスで稼ぐ」という時代の流れに適合的である。