読了/ウォーラースティン『入門・世界システム分析』

入門・世界システム分析

入門・世界システム分析

景気循環、開発、主権国家ナショナリズムフェミニズム、労働運動・・・諸社会科学の諸問題も、「世界システム分析world-system analysis」の手にかかれば、すべて統一的な視点から(ユニ・ディシプリナリー)、その本質や相互関係が説明される。物事を、根源的かつ統一的なパースペクティブのもとで理解するということがどういうことなのか、格好の見本。「大言壮語」と批判されることも多い世界システム分析に関する、ウォーラースティン自身による最初で、おそらく最後の入門書、決定版。訳者のあとがきも役に立つし、何より訳文の滑らかさ、随所に見られる優れた言い回し(「世上言われるところでは」(p.125)、「手管を尽くす」(p.147)など)は特筆すべき価値がある。「翻訳とは、かく在るべき」と思わせてくれる本でもある。