政治家のタイプが、変わってきた?:第45回衆議院選挙雑感

今回の選挙での当選者(とくに民主党の当選者)を見ていて気づいたことを、いくつかコメントしてみたい。


(1)金融機関の出身者が目に付く
どういうわけか、金融機関の出身者が目に付く。一番多いのは、銀行の出身者。「元みずほコーポレート銀行員」とあるのは、要するに旧興銀マンであろう。あと証券会社の出身者も目に付くし、日銀や生保の出身者もちらほらといる。一般論として、彼らの多くは、マクロ経済政策、財政・金融政策などに明るいのではないかと推察できる。


(2)アメリカの大学院を出た人が多い
ハーバード、ジョージタウンなどだが、このタイプの人は、外交・国際関係・安全保障に強いことを売りにしている者が多い気がする。つまり、幸か不幸か、この「アメリカ帰り」は、政治学畑の人が多い反面、経済学畑の人は、あまりいないようだ。


(3)大学やシンクタンクなどの出身者も目につく
常勤・非常勤、テニュア・任期つきなどの違いはあろうが、かつて研究者だった人がそこそこいるようだ。


(4)松下政経塾出身者が増えた
健全な二大政党制を根付かせるという松下幸之助の意思は、年月がかかったものの、確実に花開いたようだ。


(5)ソニートヨタキヤノン三菱商事、丸紅など、いわゆる大企業の出身者も少なくない
もとより、このタイプは自民党にもいたかも知れないが、自民党の大企業出身者というのは、地盤を引き継ぐパターンが多かったのではないか(神戸製鋼所出身の安倍晋三丸善石油出身の福田康夫が典型)。他方の民主党の場合、地盤はないが、政治を志して公募に応じて候補者に選ばれ、選挙戦を勝ち抜いて当選となったパターンが少なくない。


もちろん、上記は排他的ではなく、複数に該当する人も少なくない。


要するに、全体として、政治家のタイプが変わってきたように思う。一昔前の自民党だと、世襲議員は別として、世襲ではない場合には、町議・市議から県議を経て国会議員になる、というパターンが多かったと思う。このタイプの人は、各種の業界団体をまとめることでのし上がってきた人で、利権配分や業界秩序の維持(談合)などに注力してきたのだろう。だが、こういうことに注力していると、政策を練るための勉強をする時間がなくなるので(もともと能力もない?)、政策については官僚に丸投げになる。これが官僚主導政治の原因だったのではないか。

他方の民主党だが、町議・市議→県議→国会議員という、伝統的な経路を経ていない人が多い。また上記の(1)〜(3)から推察されることとして、官僚に頼らずとも政策・法案を立案する能力のある人が多いように思う。もとより民主党議員の多くが経験のないことを心配する人は多いし、わたしもそれは心配しないでもない。ただ中身(経歴)を見る限りでは、小泉チルドレンたちよりは小沢チルドレンたちのほうが質が高いのでは、という気もする。