- 作者: 森谷正規
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2003/04
- メディア: 新書
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森谷正規『中国経済真の実力』文芸春秋(2003年)を読了。
とても読みやすく、中国経済を「脅威」だと誤解しているビジネスマンや大学生にオススメ。
森谷氏は、中国経済の強みと弱みを、技術の「蓄積」という観点から産業を腑分けして、論じている。
興味深かったのは、同じ装置産業(素材型産業)でも、化学産業と鉄鋼産業では生産に要する技術の種類が異なり、前者は装置さえ完成させれば比較的にキャッチアップが容易だが、後者では装置を作っただけではダメで、熟練による高度な技能がなければ優れた鉄鋼を生産できない、という指摘。
結局、中国が強い産業とは家電製品やパソコンなど、生産に熟練を必要としない組立産業とITぐらいであり、自動車、鉄鋼、工作機械など、生産に長年の熟練と経験を必要とする産業は、装置産業であると組立産業であるとを問わず、依然として弱い、ということなのだろう。