シリコンバレーという「モデル」の模倣不可能な部分

長谷川克也「シリコンバレーにおける人材の流動性
http://www.nikkei.co.jp/tento/trend/20041220m47ck000_20.html


同氏の指摘によれば、

シリコンバレーの人口の34%はアメリカ国外で生まれた人である。

また

残りの3分の2のアメリカ生まれの人達にしても、東西5000キロの幅がある広大なアメリカ各地から集まった人達

だそうです。
さらに

バブルが崩壊した2000年末からの24カ月間で、シリコンバレーの中心地域サンタクララ郡の就業者数は101万人から83万人へと急減した。これだけの短期間にこれほどの急激な雇用減少はアメリカでも珍しい

とのこと。同地の人材の流動性の高さが、よーくわかります。


よく知られているように、シリコンバレーで職を失った人たちは、インドや台湾といった祖国に帰ったり、あるいは、アメリカ国内の別の地域へ転じて、そこで仕事を見つけて食っていくわけです。つまり、シリコンバレーは「もうあなたの仕事はありません。どうぞお帰り下さい」と言える立場なわけです。そしてこれは、同地が、IT分野で世界に君臨する土地だからこそ可能なことです。しかし日本国内(よその国でも)で、「どうぞお帰りください」なんて言えるわけがない。シリコンバレーというモデルを日本では模倣できないのは、こういうことも原因ではないかと思われます。


(追記)
「もうあなたの仕事はありません。どうぞお帰り下さい」というのは、シリコンバレーに限った話ではない。メジャーリーグでも、プロバスケットでも、同じである。というよりもむしろ、シリコンバレーが、メジャリーグに近い、と考えたほうがよいのかもしれない。