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[焦点]デジカメ各社、収益格差が鮮明に=来年には勝敗決するとの見方も

[東京 16日 ロイター] 2004年度決算でデジタルカメラメーカー各社の収益格差が一段と鮮明になった。業績不振を受けて京セラ<6971>がデジカメ事業からの撤退を表明したのをはじめ、デジカメ事業で赤字を計上したオリンパス<7733>は、4000人削減と2工場閉鎖を柱とするリストラ策を打ち出した。世界的にデジカメ市場が拡大しても、過当競争から販売価格が下落して収益を悪化させるメーカーが出ている。アナリストは、デジカメ業界はキヤノン<7751>とソニー<6758>の2強と、その他メーカーという構図になり、来年にかけて事業統合や撤退の動きが加速すると指摘している。

 真っ先にデジカメ撤退を表明したのは、京セラだった。京セラは3月、販売競争の激化を受けて急速に下落する販売価格にコスト削減が追い付かないため、デジカメ事業から撤退する方針を決めた。同社のデジカメなどの光学事業は、2004年度に153億円の赤字を計上した。

 オリンパスは、販売不振が続くデジカメなどの映像事業でリストラ策に着手する。同社は2004年度に映像事業が足を引っ張り、初の連結最終赤字118億円となった。同社は、映像事業の総人員1万4000人のうち、中国を中心に4000人削減するほか、国内のデジカメ関連2工場を閉鎖する。同社は、抜本的な映像事業の再建策をまとめる予定。同社の菊川剛社長は、「売れ筋商品を出せなかった。商品企画の失敗が原因」と総括する。

 各社が2005年度に前年度を上回るデジカメ販売計画を打ち出す中、コニカミノルタホールディングス<4902>は、前年度比2割減らして225万台とする販売計画を打ち出した。同社は、2005年度に高採算のデジタル一眼レフカメラ販売台数を同3倍の25万台に引き上げる一方、薄型軽量のコンパクトタイプでは高付加価値商品に絞り込んでいく。こうした対策で同社はデジカメなどのフォトイメージング事業の赤字幅を2004年度の87億円の赤字から2005年度に40億円の赤字に縮小させる。

 各社は、2004年度にデジカメ店頭販売価格は約2割下落したとみている。2005年度には各社が400万画素の入門機種を減らして、500万画素以上の高品位機種に注力するため、販売価格は10%前後の下落になると予想している。ただ、市場の先行きも楽観視できない。カメラ映像機器工業会の調べでは、国内デジカメ出荷台数は3月まで6カ月連続でマイナスを記録している。各社は海外市場で販売拡大する計画だが、海外市場では米フィルム・写真関連大手イーストマン・コダックなどの有力ブランドが勢いを増している。米調査会社IDCによると、2004年にはコダックが、オリンパスを抜いて世界シェア3位になったという。

 現状のデジカメ業界について、UFJつばさ証券のシニアアナリスト山本和也氏は、「世界シェア1位のキヤノンと2位のソニーという2強とその他メーカーとの色分けができつつある」とみている。山本氏は、2強以外のメーカーは、デジタル一眼レフカメラからコンパクトタイプまでというフルラインの商品戦略を見直して、自社の強みが発揮できる商品に経営資源を集中させることが必要という。実際、カシオ計算機<6952>は、フルライン戦略を取らずに薄型コンパクトに特化することで成長を保っている。

 かつて銀塩(フィルム式)カメラで起きたメーカー淘汰の動きが、デジカメでも起きるとの予測が業界には広まっている。UFJつばさ証券の山本氏は、「デジカメメーカーは、事業から撤退するか、他社と事業統合して規模を追求するか、という対応を迫られている」と語る。山本氏は、「今年から来年にかけて多くても5社程度に絞り込まれる可能性がある」と指摘する。

http://charge.biz.yahoo.co.jp/vip/news/rtr/050516/050516_mbiz2474023.html