- 作者: 岩村暢子
- 出版社/メーカー: 勁草書房
- 発売日: 2005/06/01
- メディア: 単行本
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われわれが日常思い込んでいる「昔はこうだった」というものが、いかにして幻想に過ぎないか、そしてそれどころか、古来からの伝統のものと思われているものの多くが、じつのところ、近代になってから「発明された伝統」(Invention of Tradition)だ、と言ったのは、歴史家E・ホブズボームである(『創られた伝統』isbn:4314005726)が、このホブズボームの言説を実感させてくれる書でもある。
それはともかくとして、本書を読めば、日々の食事を作れない人々を壮大な規模で生み出してきた真因が、「最近の若者」の乱れによるものではなく戦後の社会変動の必然的な帰結であったのだということがよくわかる。もっとも本書では、後半になると、「では、どういう世代に、どういう商品が、どのような理由ゆえにウケるか」というマーケティング的な色彩が見え隠れするようになるのだが、これは、調査が広告代理店の全面的なバックアップで成立していることゆえ。これを差し引いても一読の価値あり。
それにしても、優れていながらも古い慣習や生活スタイルを国民的規模で捨ててきた結果として生まれた「現代家族」のなかから、果たして、生活の「習慣能力」を身に付けた人々が今後、マスとして再登場する可能性はあるのだろうか?