三洋電機:総合電機メーカーとしての「終わり」の始まりか

かつて90年代の半ばまで、総合商社大手は「9社」体制ということになっていた。三菱、三井、住友、丸紅、伊藤忠日商岩井トーメンニチメン、兼松、である。だが、このうち兼松は、大幅な事業縮小により、「総合」でも「大手」でもなく、単なる普通の専門商社になってしまったし、トーメンもリストラを繰り返した挙句に「大手」から脱落し、豊田通商との合併という道を選んだ。日商岩井ニチメンは、「双日」として生き残ろうとしているが、最近は日経新聞などでも「総合商社大手5社」と表記されることもあって(6社と表記される場合もあるけれども)、これだと、悲しいかな、双日は5社のなかに入らない。つまり双日でさえ、「大手」と認知されなくなってきているのである。こうして、5社ないしは6社体制に集約されたのが、大手総合商社である。


以前にも書いたことだけれども*1、総合電機大手もいよいよ一角が崩れそうになってきた。その最有力候補になってしまっているのが、三洋電機で、おそらく、総合電機大手から脱落するのではないか。その場合の再編の様式としては、①兼松型(大幅な事業縮小により、「総合」でも「大手」でもなくなる)、②トーメン型(格下のライバル企業との合併により生き残りを目指す。この場合、合併相手の有力候補としては船井電機が考えられる)、③双日型(同じ業界の、企業規模も大きく違わないライバルとの合併により、生き残りを目指す)などが考えられる*2。現時点で一番有力なのは、①ではなかろうかというのが、自分の考えである。


三洋は、いまならまだ、電池・業務用機器メーカーとして業態特化すれば、十分に生き残っていける。だが、早くに止血しないと、資本の目減りが進み、そうなってしまえば、世界一の電池メーカーとして生き残るための投資の原資も枯渇しかねない。11月20日以来、株価は100円台になってしまっている。決断のために残された時間は、長くない、かもしれない。



三洋電機、人員削減2200人に
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20061124AT1D240BN24112006.html

三洋電機、連結最終赤字500億円に・07年3月期
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20061124AT3L2404D24112006.html

三洋、携帯電話事業を分社・売却へ
http://it.nikkei.co.jp/mobile/news/index.aspx?n=NN003Y243%2022112006

三洋、冷蔵庫生産を全面委託――中国のハイアールに
http://it.nikkei.co.jp/business/news/index.aspx?n=NN003Y280%2025102006

三洋電機、家電を業務用部門に移管
http://it.nikkei.co.jp/business/news/busi_gyoukai.aspx?n=AS1D2808V%2028092006

奇妙な協力組織「三洋欅会」
三洋電機、漂流経営のツケ、取引会社も疑心暗鬼
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20061130/114649/

*1:http://d.hatena.ne.jp/eurospace/20060110

*2:あまり考えたくないことであるが、外資に吸収される可能性も否定できない。ハイアールなどが有力か。