読了

ベーシックインカムやこども保険など、年金以外の話が多い。年金の話についても、2つの所得代替率を区別していないのは大きな問題である。

すなわち、政府の年金に関する見通し等で言われる、①現役世代の平均賃金に対する公的年金の受取額の水準という意味での所得代替率を紹介せず、②現役時代の収入に比べて公的年金がどのぐらい貰えるかという意味での所得代替率しか紹介していないという欠点がある。

全体として、年金論というよりも、年金をめぐる言説紹介論になってしまっている。間違った言説を信じてしまっている人に対する解毒剤としての意義はあるが、年金の解説としてはバランスが良いわけではなく、年金についての入門的な書とは言いづらい。