ジェレミー・フォックス『チョムスキーとグローバリゼーション』

チョムスキーとグローバリゼーション (ポストモダン・ブックス)

チョムスキーとグローバリゼーション (ポストモダン・ブックス)

チョムスキーとグローバリゼーション」と言いながら、チョムスキー自身のグローバリゼーションについての見解の一部は、カナダのオタワ大学経済学部教授、ミシェル・チョスドフスキーの見解に依拠しているので、本書の後半は、「チョムスキーとグローバリゼーション」というよりも、「チョスドフスキーとグローバリゼーション」になってしまっている。

本書は、チョムスキーがグローバリゼーションについて何を述べているのかを簡単に把握するには役に立つが、把握したところで辿り着く結論は、「チョムスキーのグローバリゼーション論を、学問として積極的に読み込む必要はない」ということである。したがって、本書を読んでも、グローバリゼーションについての深い知見を得ることはできない。新書以下の分量(論文1本分程度)の割に値段が1500円と高いのも問題。