激安夜行バスは危ない

運転手「居眠りした」、過労か バス会社、ほぼ家族経営
http://www.asahi.com/national/update/0219/OSK200702190038.html


最近、東京-関西(大阪、京都など)間の夜行バスで、3000円台とか4000円台前半という激安夜行バスが増えている。JR等大手の夜行バスと比べると、半値ぐらいである。


なぜこんなに安いのか。それは、座席のシート数だけでは説明されない。大手の夜行バスは、定期運行ものとして役所から免許を授けられており、従業員の生活・労働水準も一定以上に保たれている。運行に際しても、運転手は複数名乗車して交替して運転している。これに対して、激安バスは、定期運行ものではなく、企画もの、つまり「貸切バス」である。そして2000年の道路運送法改正により貸切バス事業は免許制から許可制に緩和されたので、業者が急増し、その結果、競争が激化した。そのため輸送業者は、運転手の生活・労働水準などをかなり切り詰めており、長距離の夜行バスなのに運転手が1名のみということもザラである。しかも困ったことに、原油高によるコスト上昇が、この傾向に拍車をかけている。いきおい、この種の激安バスの運転手は、慢性的に過労と睡眠不足に苦しめられているというケースが多いのである。


要は、激安バスというのは、安全確保をおざなりにして運行されている可能性が高いということなのだ。この種のバスは、大学生や大学院生など、お金のない若者の支持を集めているが、自分はかねてから、何人かの知人に、「激安バスは危ない。運転手の労働条件が悪すぎ、居眠り運転による事故に巻き込まれる可能性が高い。たった数千円をケチったがために、一生取り返しのつかないような怪我に巻き込まれるかもしれない。だからそのようなリスクの高いバスに乗るべきではない」と言ってきた。


今回このような事故が起きたことは不幸なことだが、願わくばこれで、激安バスの危険性が少しでも明らかになればよいと思う。安いには理由がある。それは労働者のみならず、乗客の安全性をも犠牲にしているのである。だから自分は今後ともこのような激安バスには乗らないつもりだ。わずか数千円をケチって命を失うのは、あまりにもばからしい。安全はお金で買える(場合もある)