「不当な言動があった、教育研究環境を乱している」

「定年延長の拒否「無効」関大元学部長、大学を提訴へ」『朝日新聞』2005.01.20(大阪夕刊、12頁)

 定年延長を拒否されて3月末で失職することになった関西大経済学部の小田正雄教授(69)が、拒否は無効として、学校法人関西大学(森本靖一郎理事長)を相手どり、大阪地裁に地位の確認などを求める訴訟を21日にも起こす。経済学部長まで経験した小田さんは「これまでの積極的な発言が教授会の反発を買ったのかもしれないが、慣行となっている70歳までの延長を拒否される正当な理由はない」と話す。
 関大の定年は65歳。しかし制度的には最高5年までの延長が可能で、1年ごとに学部教授会の審議を経て、理事会が決めている。小田さんによると、経済学部では80年以降、辞退者と死亡者を除く17人全員が70歳まで延長されたという。
 小田さんは過去4回、延長が認められてきた。ところが、昨年5月の経済学部教授会で、不当な言動があった、教育研究環境を乱している、といった意見が出され、70歳延長が否決された。これを受けて理事会は先月、延長拒否を決めた。
 これに対し、小田さんは「『関関同立』の中で停滞気味の関大の競争力を高めたいと思い、人事やカリキュラムなどの改善を求めてきた。05年度も指導する予定だったゼミの学生もおり、延長拒否は合理的理由がない」と反論する。
 関大の池内啓三・常務理事は「定年延長は教育研究上の必要性に基づく学部の判断を尊重している。提訴については訴状を見ていないのでコメントできない」と話す。(杉本潔)

で、その後、この裁判がどうなったかであるが:

「関大の失職訴訟和解」『朝日新聞』2006.02.17(大阪朝刊、32頁)

 定年延長を拒否されて失職した関西大経済学部の小田正雄・元教授(70)が、拒否は無効として、学校法人関西大学(森本靖一郎理事長)を相手どり、大阪地裁に地位の確認などを求めていた訴訟でこのほど、和解が成立した。小田さんの退職を確認するとともに、大学が小田さんに解決金250万円を払う。

「退職」はひっくり返らなかったが、幾ばくかの解決金を得た――ということは、おおむね関大側の主張が認められたが、関大側もすこし譲歩したので、原告もそれで妥協した、というところだろうか。それにしても「不当な言動」とか「教育研究環境を乱している」とは穏やかではない。いったいどのような言動を取っていたのか気になる。