抜き書き

審議会の形骸化が指摘されて久しい。私は約25年間、環境関連の国の審議会をウォッチしているが、こんなにひどい状況になったのは、この5、6年ぐらいのことである。以前は、委員たちがもう少し熱い意見を闘わせていた。今の審議会は、官僚の”あやつり人形”たちが、振り付け通りに演技する舞台のようである。

中央環境審議会の元会長、森島昭夫名古屋大学名誉教授はこう警鐘を鳴らす。「私が会長のときには、公平な議論をしようと、環境省には一切相談せず、自分の判断で審議を進めた。審議会は官僚の書いた筋書き通りに決める場ではないから。利害関係者が議論し、少しでも溝を埋める努力をし、合意点を見い出していくのが審議会の役割だ。でも、最近は、委員が環境省を訪ね、会の進行を官僚と相談していると聞く。こんなことがあってはならない。

 

杉本裕明『ルポにっぽんのごみ』岩波書店、2015年、p.81より。