幼児を深夜に連れ回す親の所業はほとんど児童虐待だ

全国どこでもあまり変わらないと思うが、最近は深夜に幼児・児童を連れ回している親が増えている。深夜スーパーに行くと、こういう親をよく見かけるが、これ以上に理解できないのは、夜中にベビーカーに乗せてどことなく散歩させている両親がいることだ。ありえない。


どうもまだ広く理解されていないようなのだが、子どもの生育には「寝ること」と「全身を使って遊ぶこと」が不可欠である。よく寝てよく遊ぶというと、何か怠けているようだが、これこそが脳と身体の健全な発達を左右するのであり*1、寝ることと遊ぶことは子どもにとってもっとも大事な「仕事」である。だから幼児を深夜に連れ回す親の所業は、実のところ、ほとんど児童虐待だと言って良い。「児童虐待」というと、どうも暴力や食事を与えないことなどがイメージされやすいけれども*2、もう少し広く捉えるべきではないのか。


ついでに言うと、幼児・児童を毎日何時間もメディア(テレビ)に晒すのも「児童虐待」に近い。毎日何時間もメディア(テレビ)に晒された子どもが、さまざまな発育不全に陥っていることは既に常識である。また小学生に携帯電話など論外だ。


ちなみに自分は、中学校に入るまで、テレビは夜のニュースのほかはプロ野球などのスポーツぐらいしか見ることができず(チャンネル権はまったくなかった)、しかも小学校5年生が終わるまで、毎日夜8時には就寝させられていた。そして、両親に連れられて、蜆取りや山菜取りなどを通じて、野山や川を駆けずり回っていたのだった。こういう生育環境は、振り返ってみると、ある意味でとても「贅沢」だったように思う。21世紀の現代に、こうやって育っている子どもというのは、どれぐらいいるのだろうか。

*1:http://www.amazon.co.jp/dp/4000093215/

*2:ただしこれらは昔もあった(立花隆『文明の逆説――危機の時代の人間研究』講談社、1976年)。現代になって新しく見えるのは、その位相が異なっているからである。