肉を生で食べてはいけない

肉には、微生物がいろいろついている。だから加熱することで、微生物を殺して、食べる。生で食べることのできる肉は、「生食用」に限定されている。これは、食品衛生のイロハである。それなのに。


焼き肉店で集団食中毒、男児死亡…富山県
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110429-OYT1T00581.htm?from=nwla

別の焼き肉店でも男児死亡…加熱用肉を生食提供
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110430-OYT1T00883.htm?from=nwla


少し長く生きていると、この種の食品衛生のイロハを無視した事件は、定期的といっていいほど繰り返されていることがわかる。そして、事件が起こるお店というのも、ある意味では共通していて、低価格のチェーン店なのである。2009年9月6日のエントリー「成形加工牛肉(結着肉)には、微生物がいっぱい!!」*1で取り上げたのは、ペッパーランチ社の事件で、このときはO-157が原因だった。今回は、O-157並びにO-111による食中毒とのことで、2年前のペッパーランチの事件と共通している。


上記の記事によると「今回、問題となったユッケの価格は280円」だったという。安い物には裏がある、と思わなければならないのである。安物買いの銭失いならぬ「安物買いの子供失い」になってしまった。


O-157による食中毒事件は、実際には報道される以上にあちこちで起きている*2。死人が出たから報道されるのであって、死には至らず軽症で済んだ人というのは、けっこうあちこちに居るはずなのである。そして残念ながら、この種の生肉による死者発生事件は、今後も繰り返されるのである。


だから、消費者はもっと賢くならねばいけない。簡単に言えば、死者ゼロの原発よりも、死者を出す生肉のほうが危険だ、というリスク認識を持つべきなのである。


(2011/05/03追記)
ユッケは人気なので…業界全体で危険に目つぶる
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110503-OYT1T00177.htm?from=main1

生食用の食肉処理施設は全国に12か所あるが、出荷されているのはいずれも馬肉で、「2008、09年度は生食用の牛肉の出荷がなかったことが確認されている」とする。

これは驚いた。すべてのユッケは生食用ではない、と見なければならない。