読了(白石一文『光のない海』)

広告に惹かれて、白石一文『光のない海』を読んだ。この著者の作品を手にするのは初めてだ。

このところ手に取る小説は、面白くないものばかりが続いていたが、これは、久しぶりに読んでよかったと思える作品だった。結末があいまいなのが少し残念な気もするが、あいまいになっているのが、この小説のポイントなのではないか、とも思う。

この小説を読んで味わえるのは、この小説に価値を見出せるのは、おそらく一定年齢以上の人だと思う。10代や20代の若者には、この小説の意味は、ほとんどわからないだろう。「この小説を読んで良かった、面白かった」という10代や20代の若者がもしいたとしたら、何か年齢不相応の闇を抱えている人ではないか、という気がする。

本書は、「年を取らないとその価値がわからない小説」の一つ。

光のない海

光のない海