- 作者: 三浦展
- 出版社/メーカー: 洋泉社
- 発売日: 2004/09
- メディア: 新書
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やや牽強付会な論法が気になるし、どうにかしたほうがいいと思うが、問題提起としては興味深いものがある。また、アカデミックには議論されにくい指摘が満載である。たとえば
・地方の郊外で、都会よりも犯罪発生率が高くなっている地域がある
・道路建設・大規模小売店舗ラッシュの影響を受けて農村部でもコミュニティが流動化しており、もはや牧歌的な田園など日本には存在しない(総郊外化)
・地方は総郊外化する一方で、昔ながらの生活経験や自然と親しむ機会が減っており、その点では、いまや都会と何ら変わりない。また都会と比較して異質な他者を見かける機会が少なく、消費スタイルも画一的なため、都会よりもかえってバーチャルな生活を送っている
・地方のほうが、都市部よりも消費支出が多い場合があるなど、消費社会化が進行しており、イカれている
などである。
「郊外がヤバイ」という視点は、宮台センセの議論と通じるだろう。京都市内の南部もまさにそれである(86ページでも指摘されている)。この指摘は、京阪電車に乗っている身としては、肯けるものがある。丹波橋や中書島からの乗客(特に10代)は、のっぺらぼーな消費社会にどっぷりと浸かっているとしか思えない立居振る舞いの者が多いからだ。これは滋賀県の草津市や守山市など、近年急速に開発された(どの駅前もほとんど同じ光景が広がっている)地域でも同じだと思う。
願わくば、景観と記憶の関係について、もう少し論述があるともっとよかったのだが。