応用物理学会「研究成果の国際的な発信力強化に向けての提言」

応用物理学会「研究成果の国際的な発信力強化に向けての提言」
http://www.jsap.or.jp/publication/monograph/suggestion.html

5. 個別論文の価値を正しく評価する。

わが国で生産される科学技術論文の海外流出を加速させている重要な要因に、論文誌の「インパクトファクター」や「引用数」などの数値指標を競争的資金配分や人事採用等の業績評価に誤用する最近の傾向がある。これは、わが国の論文誌が負う大きなハンディキャップとなっているばかりでなく、研究評価そのものをゆがめるものであり、評価力の貧困を如実に示すものである。こうした事態の是正が必要である。

(1) 科学技術の成果評価や論文価値の本質的評価は、多くの場合、研究者同士の「ピアレビュー」によってのみ可能であり、研究者の全体的水準が評価の水準を決定する。したがって、研究者は自らの学識を高め、互いの研究成果を評価する能力を高めるように努力する。また、良い研究を互いにほめ合うことで高め合うという風土を培う努力をする。この為に大学など人材育成に携わる研究者は一層の努力を行う。

(2) 研究費の配分や研究機関、研究者の評価において海外誌への発表を誘導しないこと。国の「評価の大綱的指針」、「評価指針」が、数値的評価を誘導していることにかんがみ、これら「指針」の見直しが必要である。

いやぁ、いい。最近は何とかの一つ覚えで、やたら「海外誌」(理系)、「レフェリー」(文系)といった傾向があるが、ノンレフェリーでも優れたものはある。数値指標に頼るのは、個別の業績評価を放棄することにもなりかねない。こういう提言がもっと増えてくれないと。