論文の検討

雨宮洋美「貧困・土地・所有権 : 世銀の土地政策変遷とデ・ソトの議論からの覚書」
http://ci.nii.ac.jp/naid/110006205405


なんとも読みにくい論文。日本語なのだが、何を言っているのか読み取るのに苦労する箇所が、ままある。実例を、218ページから一箇所だけ、挙げておく。これを頭から一読しただけですんなり理解できるという人がいれば、その人は、「立派」である。

「世銀の政策変遷の概観からは、第一の時期である70〜80年代においては、新古典派主義的制度論の考え方により非効率的なものとされ、市場経済化のために慣習的・共同体的権利は淘汰され個人的な権利へと転換されるべきであるという論調が主であったことがわかる」。

わたしなら、せめてこう書くだろう。

「世銀の政策変遷の概観からは、第一の時期である70〜80年代においては、新古典派主義的制度論の考え方によって、慣習的・共同体的権利は、市場経済化のために淘汰され、個人的な権利へと転換されるべきである、という論調が主であったということがわかる」。

どちらがわかりやすいか、誰の目にも明らかだろうと思う。


文献表記も誤記が多い。文献リストと、本文中で言及されている文献が、一致しない。


著者は外国語には堪能なようだが、もう少し日本語をわかりやすく書くトレーニングを積んでいただきたい。