メモ(出生率)

出生率の変化は、2つの要因に分解することができる。1つは、未婚・晩婚化要因だ。(中略)もう1つは、「有配偶出生率」つまり、結婚したカップルが何人子供を持つかである。当然ながら、有配偶出生率が低下すれば出生率は下がる。
では、この2つの要因のどちらが近年の出生率低下に寄与しているのか。実際のデータを見よう。日本の出生率は1985年の1.76から、2010年には1.39に低下している。この間、有配偶率は62.5%から56.9%へと低下しているのだが、有配偶出生率(有配偶女性1000人当たりの出生数)は、73.3から79.4へとやや上昇している。近年の出生率の低下はもっぱら未婚化が原因であることが分かる。
(中略)
この未婚化が出生率に及ぼす影響はかなり大きい。前述の経団連の研究会に参加した大石亜希子千葉大学教授が同プロジェクトのために計算した結果では、仮に1990年以降未婚化が進まなかったとすると、2010年時点での出生率は1.80、出生者数は141万人となっていたことが示されている。

小峰 隆夫「改めて考える人口問題(5)」
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