大阪の都心部の建設需要は強い

所用ついでに大阪の都心部を久しぶりに歩き回った。交通機関に頼らずに敢えて歩いた目的は、景気動向の確認である。体感で景気動向を確認する方法としては、たとえば、道路の混雑具合やタクシーの列、さらにはその街のメインストリートのショップをウォッチするなどいろいろあるが、自分の場合は、天空に突き出たクレーンを目印にして、ビルの建設動向を見て判断するようにしている*1


さて歩き回った上での結論としては、「大阪の都心部の建設需要は強い」の一言に尽きる。あっちにもこっちにも建設用クレーンが伸びている。特に印象に残ったのは、(商業ビルではなく)超高層マンションの建設が多いことで、長堀橋谷町四丁目などで30〜40階以上と思われるマンションがいくつも工事中となっている。いわゆる「都心回帰」そのものである*2


景気の動向とは多分あまり関係がないけれど、都心部を歩き回ってもうひとつ気になったことは、コインパーキングの多さである。そのコインパーキングが出来上がってからどれほど経っているのかは、舗装やペンキの塗り具合などである程度推測できるのだが、はっきり言って真新しいパーキングが多い。駐車禁止取締が強化されたことも関係しているのだろう。ただ都心部にあれだけパーキングがあるということは、建設需要が盛り上がったときにそれを満たす土地はまだまだあることの証明とも言えるように思う。とにかく結構広い土地が、真新しいパーキングになっていたりする。


もっとも、都心部の建設動向は、景気の一つの指標にはなるものの、その先行指標であるとはいえない。都心部の建設は、景気が後退してもしばらく続きがちだからである。


 

*1:ちなみにあるエコノミストは、統計データを見るのはもちろんだが、景気の体感判定として、東京-大阪間の新幹線の混み具合、とくにグリーン車の混み具合を見るという。なぜ普通車ではなくグリーン車かというと、普通車と違ってグリーン車の場合、個人が自腹を切って乗っている率が低く、その代わりに法人による利用(出張等)の比率が高いからである。言うまでもなく、企業は、不景気になると、経費削減の一環として、社員のグリーン車の利用に制限をかける傾向がある。

*2:個人的には、超高層マンションの上部に住むことは薦めない。超高層マンションの上部=地上百数十メートルの世界で暮らすことには、独特の不便がある。①意外にも天気がわかりにくい。下に降りるまで、小雨が降っていることに気づかなかったりする。②遮るものがないので、低層階であれば聞こえにくいはずの遠くの騒音も聞こえやすい。③地震のときにエレベーターが止まりやすい。高層であればあるほど、地震時にエレベーターのロープに支障が出やすく、業者の対応を経た上での復旧までに、数時間かかる。エレベータが何時間も止まっている間、地上40〜50階まで階段で上がる、またはそこから階段で降りるには、健康な大人でも何十分もかかる。子供や高齢者には一大事だろう。④大きな震度でなくても、地震の揺れが長い間(数分以上)続く。⑤洗濯物などを外に干せないことが多い(飛散防止のため禁止されていることが多い)。⑥台風などによる強風時に建物が微妙に揺れる、などの不便がある。こういうことはいずれも、あまり知られておらず、しかも高層マンションの販売会社は絶対に教えてくれないので、ここに書いておくことにする。