サッセンと岩波

太郎丸博「Theoretical Sociology」
http://sociology.jugem.jp/?eid=198
まったく同感だが、一言付け加えておきたい。
じつはこの本は書き下ろしではなく、80年代後半から90年代前半にかけて、サッセンがあちこちに投稿した論文(もちろん査読付雑誌に)をまとめたものである。だから、こういう本が、「水で薄めたような内容」であるということは、「もともとの論文そのものがダメだった」ということに他ならない。
さらに80年代後半から90年代前半にかけてという、比較的古いものでさえ「水で薄めたような内容」だということは、サッセンはもうかなり前からダメになっていた、ということを意味している。そうであるにもかかわらず、第一に、日本のアカデミズムにはこのことを認めない人が多すぎる。そして第二に、わざわざ翻訳書が出てしまうから、(こんなつまらない本の翻訳を出す)「岩波の編集者の質は下がっている」と言いたくなるのである。