その3・日本のアパレル市場の変化、1990-2017

(このエントリーは、2018年12月8日付「続・日本のアパレル市場の変化、1990-2017」の続きである)

 

ファッション業界で名を知られている小島健輔氏が、1990年以降の日本のアパレル市場の需給ギャップ(調達量と消費量の差)を、雑誌「商業界」のサイトでわかりやすくグラフ化している。とても有用なので、紹介しておきたい。

小島健輔が調べた「怖すぎる衣料消費の現実」 -- 過半が売れ残るのは本当だった! | 企業戦略 | 小島健輔からの直言 | 商業界オンライン

 

これを見ると、衣料品の需給ギャップが極端に拡大したのは1990年~2000年代半ばにかけてのことだった、とわかる。2000年代半ば以降は、それほどは拡大していない。

また、今まで考えたことがなかったが、中古の衣料品の輸出が拡大していることも示されている。小島氏は、日本の衣料品の売れ残りは2017年で推計14.55億万点であり、このうち8〜9億点は中古衣料品(「新古」衣料品)として輸出されているのではないか、としている。そうだとすると、5.5~6.5億点は廃棄されているのである。

 

小島氏は、こうした実情から「アパレル流通はもう破綻している」という。しかし、小島氏は、衣料品の原料が石油や、農薬を大量に使って作られた綿花だったりすることについては触れていない。人類は、一度も使われもしない衣料品のために、せっせと化石燃料を無駄遣いし、農地を痛めているのである。本当に破綻しているのは、アパレル流通などではなく、こうした現実に気付けない人類の脳みそなのではないか。